上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑

「やっぱり、変わらないわ。同棲やめましょう」

あなたの毅然とした言葉に、男はうなだれる。
あなたの決心が固いことを知り、ついに諦めの表情になった男は、かすれた声を絞り出す。

「わかった。仕方ないよな。全部、俺のせいだもんな」

あなたは否定も肯定もせず、ただ黙っていた。

「でも、今すぐ出ていくのは、ちょっと待ってもらえないか。せめて家が見つかるまで……」
「わたしだって、そんな無茶なことは言わないわ」
「よかった」
「じゃ、一ヶ月。来月末までに住むとこ、決めて。それでいい?」
「わかった」

あなたは冷めてしまったお茶をひと口飲む。

「こんなことになるなんて思ってもみなかったよ」
「わたしもよ」

あなたの言葉に嘘はなかった。

「あのさ、念のため確認したいんだけど」
「うん、なに?」
「俺たち、別に別れるってわけじゃないよな?」
「うん、わたしはただ独り暮らしに戻りたいだけで、別れるとか考えてないけど」
「そうか、よかった。それ聞いて安心した」
「お互い、今まで知らなかったいろんな面が見えて、わたしは同棲して良かったって思ってるわ」
「うん、俺も」
「じゃ、わたし、明日早いから、もう寝るね」
「え、もう寝るの?」
「うん。洗い物したら寝るわ」
「俺がするからいいよ」
「だって、今日作ってくれたから……」
「今日はいいよ。いつもやってもらってばっかだったからさ」
「ありがとう。じゃ、お願いね。おやすみ」
「おやすみ」

あなたは、ひとりになりたかったのだ。
この決断が本当に間違いなかったのか、タロットに訊いてみたかった。
男はきっとまだ、このあとテレビかDVDを見るだろう。
1LDKなので、ひとりになれる場所が寝室しかないのだ。寝室にはベッドがふたつ。男がベッドに来る前に、ささっと占ってみようと思った。

真剣な面持ちで、タロットカードを一枚引く。

【吊られた男】のカードが出た。

えっ! あなたは、絶句する。嫌だ、どうしよう。間違えた? と、不安にかられるあなた。
同棲を続けたほうが良かったってこと?

あなたは、うろたえる。
でも、男に言い放った、先ほどの言葉をすぐ撤回する気にはなれない。

よく考えてみよう、と自分自身に言い聞かせる。
そうだ、今は宙ぶらりんってことだよね。つまり、同棲解消と言ったにも関わらず、カレがまだうちにいるってことは、まさにモラトリアム。

そうか、今は焦っても仕方ない、待つってことか。
そう考え、冷静さを取り戻したあなたは、ほっとしてカードをしまうと、眠りについた。


【さぁ、どっち? case1 (8)A に続く】





☆ 『さぁ、どっち?』 プロローグ は、こちらです。
     ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-246.html


☆ 『さぁ、どっち?』 case1(1)から読みたいかたは、こちらからどうぞ!
     ↓
http://cafesanur.blog.fc2.com/blog-entry-247.html





2016.08.31 / Top↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。